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開催レポート:職場で「ニューロダイバーシティ」を実現するには?①

本イベントは、チャレンジドLIFE設立5周年記念第2弾として、2022年12月21日、(株)オカムラの共創空間“bee”を会場に「ニューロダイバーシティの教科書」著者の村中直人さん、ユニバーサルレストラン ル・クロ オーナーシェフの黒岩功さんらをお迎えして開催しました。

 

企業、大学、医療関係者などを中心に、会場とオンライン合わせて約180名もの方にお申込みいただき、「ニューロダイバーシティ」「発達障害」「働きやすい職場」などへの関心の高さを感じながら当日を迎えました。

当日の会場の熱量も高く、オンライン参加者からチャットコメントも多数いただき、大盛況で終えることができました。

「誰もが働きやすい環境とは」について、ハード面・ソフト面から考えた3時間の様子をお届けします。

 

開始前の準備

 

会場のOpen Innovation Biotope“bee”は「はたらくを、おもしろく楽しく。自分らしく、快適に。」をコンセプトとする (株)オカムラの「共創空間」です。今回のイベントにぴったり!大きなクリスマスツリーが、会場をより華やかに彩ります。

登壇者がそろって最後の打ち合わせを行い、会場設営やオンライン接続の準備も着々と進みます。

 

今回、グラフィックファシリテーターの奥野美里さんが講演の内容をリアルタイムで見える化してくれます。

開場前にもどんどんイラストと文字が生まれていく。

近くで見ているだけでマジックを見ているような感覚になります。

さあ、講演会が終わる3時間後、この大きな模造紙がどんな風に埋め尽くされるのでしょうか!楽しみで胸がときめきます。

オンライン接続の準備もOK。

いよいよお客様をお迎えします。

 

 

 

いよいよスタート!

 

満席となった会場&オンラインでも多数のご参加のもと、いよいよスタート。

まずは代表の畠中とmikiからの挨拶。

立ち上げから5年間の活動を振り返り、関わってくださった皆様への感謝の気持ちをお伝えしました。

 

村中直人さんの講演「ニューロダイバーシティとは?~多様性を尊重する働き方のヒント~」

 

臨床心理士・公認心理師で「ニューロダイバーシティの教科書」の著者である村中さんにお話していただくテーマは「ニューロダイバーシティとは?〜多様性を尊重する働き方のヒント〜」について。

ニューロダイバーシティとは、人間の脳はひとりひとり違うもの。だからみんな違って当たり前。それを前提に社会や仕事の仕組みを作っていきましょう」という考え方です。

 

今回は「働く」ということにフォーカスして、ニューロダイバーシティとは?についてわかりやすくお話していただきました。

 

・どのような環境にいるかにより、特性は「障害」にも「個性」にもなる。

・脳や神経の多様なあり方を知ると、多数派か少数派かという違いはあれど、そこに優劣はない。

・多様な人材による「集合知(多様な知識の集まり)」を作ることでしか、この変化の激しい時代を乗り越えていけない。

・認知的多様性が高いとリスクも高まるが、個が活かされイノベーションが生まれる。

 

多様性が「ある/ない」、「認める/認めない」の議論ではなく、多様でないものを多様にするという運動でもない。事実として存在する「脳や神経由来の人の多様性」とどのように向き合うのかが問われている、と締めくくられた村中先生。

だからこそ今、このニューロダイバーシティの視点が必要なのだ、ということが、具体的な例を通して理解できました。

お話の後は、会場、オンラインそれぞれから、次々と質問が寄せられました。

 

 

黒岩功さんの講演「障害を価値に変える~「強み」「得意」を組み合わせた組織作りで"一流”を実現~

 

続いて、「ユニバーサルレストラン ル・クロ」 オーナーシェフの黒岩功さんの講演です。

 

ご自身の幅広い活動を多数のメディアで取り上げられ続ける黒岩さん。まずはテレビで放送された動画を見ていただきました。

この数分間だけでも黒岩さんの魅力がよくわかるのですが「もっと黒岩さんのことを知りたい!」という感情が湧き上がってきます。

 

なぜ、フレンチ料理と福祉をかけ合わせて事業を展開していくのか。

フランスと日本の障がい者を取り巻く意識の違いなどをお話していただきました。

 

「師弟関係の厳しいフランス料理の世界は、アンチ・ユニバーサル。最初は障害のある人たち(キャスト)と働くことに不安があった」と語る黒岩さん。様々な課題を乗り越え、障がいのある人たちとプロの料理人が一緒に働く「ユニバーサルレストラン」という形を作り上げられました。

「自分も今なら"発達障害“だと診断されるタイプの子どもだった。福祉×レストランの事業は、自分だからできること」「障がいがある人たちが街中で普通に働く姿が社会にとって絶対に必要だ。フランスやオランダではユニバーサルレストランが街中にたくさん存在している。日本にも必ず少し遅れてそのモードがやってくると信じている。そんな未来を作っていきたい。」

 

わかりやすい言葉で心に響く表現をされるトークから、黒岩さんの熱い想いや行動力が伝わり、多くの方が魅了されました。

また、「ル・クロ」を舞台に、障がいのある子どもたちがプロのシェフと料理を通して様々な体験をする児童発達支援・放課後等デイサービス「ル・クッカー」の責任者 瀧幸子さんにも、黒岩さんが作る職場環境について語っていただきました。

「おうちの困りごとを職場にどんどん持ち込んでいいよ。それをみんなで一緒に考えよう」というスタンスだそう。

瀧さんは「大変なことをおもしろがれる仲間と働ける環境が好き」「障がいのある子どもたちから学ぶことがたくさんある」と話されていました。

参加者からおふたりへの質疑応答タイムでも、障害のある方たちとのチャレンジングな日々から生まれるエピソードが次々と飛び出し、笑顔と希望溢れる時間となりました。

 

会場参加者へは、「ユニバーサルレストラン ル・クロ」のクッキーをプレゼント!障がいのある方とプロの料理人とが一緒に一流の料理を提供する、という黒岩さんの実践を体験していただきました。

クッキーには、キャストからの手描きイラストやメッセージが添えられています。それぞれ違っていて、見ていて心が温かくなります。

<レポート②に続きます。>