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【インタビューvol.1】JPTってどんな会社?

 

 

 

日揮パラレルテクノロジーズ(JPT)ってどんな会社ですか?

成川:JPTは障害のある社員の特性を「戦力」と捉え、さまざまな業務上のハードルを取り除き、障害者それぞれが持つ特性を生かしながら安心して働ける環境を整えています。JPTは従来の特例子会社(※)の枠組みとは一線を画す企業だと自負しています。

 

※特例子会社とは?

特例子会社とは、障害のある方の雇用の促進、安定を図るために、従業員のうちの障害者の人数や割合など一定の要件を満たして設立される子会社のことです。一般的な企業と比べると、障害や特性に対するサポート環境が整っているところが多いです。

特例子会社に雇用される障害者は親会社に雇用されているものとみなされ、親会社の障害者雇用率に算入できるという仕組みになっています。障害のない方が多く働く親会社で、障害のある方の雇用を促進しようとすると、設備投資や社内規定の整備、業務管理などに時間やコストがかかることも少なくありませんが、特例子会社を設立すれば、企業側としては、親会社とは異なる労働条件の設定ができたり、設備投資もしやすくなり、障害のある方を雇用しやすくなるという側面があります。

 

特例子会社の業種としては、清掃・ビルメンテナンスなどのサービス業、事務作業、印刷業、食料品製造などが主なものとなります。

 

 

 ―それはとても興味があります。従来の特例子会社とJPTはどう違うのでしょうか?

 

成川:JPTの特徴は主に5つあります。

 

JPTの特徴① 「IT業務」に特化していること

JPTの主な業務はIT技術を軸とした日揮グループの業務効率化支援です。IT人材の不足は加速していますが、IT・情報通信業の障害者雇用率は産業別の割合の中でも低い水準と言われており、他の特例子会社ではまだまだ少ない業種です。具体的には「AI・機械学習活用支援」「Webアプリ開発」などを行い、石油・天然ガスプラントなどの製造設備の建設を担う日揮グループをIT技術でサポートしています。

 

 

JPTの特徴② 働いている人の大半が精神障害・発達障害者であるということ

日揮グループのようなグローバル企業ともなれば、業務効率化支援には高度なIT技術も求められます。発達障害のある人などがもつ、一つのことに集中できる力や「こだわり」「完璧主義」といった特性は、IT分野では大きな強みとなります。

 

 

JPTの特徴③ 重要度が高く、緊急度の低い業務を行うこと

たとえ高いITスキルを持っていても、それらを活かせる仕事に辿り着けないのが精神・発達障害者の就労における大きな課題です。体調の変化や予測外の事態などによる納期遅れ精神的プレッシャーによってパフォーマンスが下がり、安定した就労が継続できないという事例がしばしばみられます。そこで、重要度は高いがある程度納期に余裕があるが仕事に特化することで、本来持っている能力を十分に発揮でき、会社や社会に貢献できるやりがいを感じながら取り組むことができます。

 

 

JPTの特徴④ 「フルリモート」「フルフレックス」を導入していること

精神・発達障害者の就労が安定しづらい背景には、プロジェクト進行に伴う環境や対人関係の変化が起こりやすい状況、業務量や勤務時間が不規則といった理由などが挙げられます。そこでJPTでは「会社はチームで働くもの」という固定概念を取っ払い、個々の業務について原則「一人1プロジェクト」という方針のもと、一人ひとりが異なるプロジェクトを遂行していくというスタイルです。他人の動きに左右されることなく、自分なりのスケジュール感で業務を進めることができます。

 

本社は横浜みなとみらいにありますが、社員は東北から九州まで全国からリモートで勤務しています。2023年5月に、初めて全社員が顔を合わせる研修を大阪で行いました。

JPTの特徴⑤ 柔軟な勤務形態

健康面への配慮から深夜帯業務(22時〜翌5時)はできない決まりだが、それ以外は原則何時に働いても自由です。また、育児・介護に限らず誰でも正社員として週20時間から40時間までの時短勤務も選択できます。

体内時計という言葉もあるとおり、人のリズムはそれぞれで異なり、誰もが平日の9時から17時に高いパフォーマンスを発揮できる訳ではありません。特に発達特性のある人は季節や気候の変化によって気分や体調が左右される人も多く、無理をして業務に集中できない時間を過ごすよりも、自分なりのタイミングで高い成果を発揮できる方が企業にとっても社員にとっても合理的であるという考えに基づいた働き方です。

 

 

―高いスキルを持ちながらも一般的な働き方や職場環境では就労の継続が難しかった社員の方が、さまざまな環境整備の中で能力を発揮されているということですね。

 

 成川:はい、JPTは業務上のハードルとなる要素を極力取り除き、社員の心理的安全性を担保しながら個々の能力を最大限に発揮できる環境を整えました。

JPTには不登校や引きこもりを経験した社員もいます。学校生活や社会生活で苦戦し、一時は自信を失っていたものの、JPTで「自分なりの働き方」を見つけたことで、自立して安定した生活を送ることができる可能性があるんです。

 

 

―本当に画期的な取り組みですね。今回、複数の社員さんへインタビューしたところ、共通していたのは、「安心して働ける環境」と「やりたい仕事ができている」という声でした。成川さんがJPTとしてこれから実現していきたいことは何ですか?コロナ禍で社会全体での働き方も大きく変わってきましたが、JPTのような雇用形態がさまざまな企業で進んでいるわけではありません。私たちJPTがこのスタイルで事業としての実績を積み上げ、まずは親会社の日揮ホールディングスにJPTの働き方を取り入れてもらいたいです。さらには、JPTのような企業が一つでも多く社会に広がっていくことをめざして、講演・発信活動や、JPTに関心を持ってくださる企業との情報交換やコンサルティングを積極的に行っていきたいです。