子育て家庭の大震災への備えに関する全国調査
《ダイジェスト版》

~インクルーシブな視点から見た子育て世帯の災害備えへの提言~

チャレンジドLIFEでは、厚生労働省が定める「発達障害啓発週間」(2025年4月2日~8日)にあわせて、大震災時の避難・備えについての全国調査を実施しました。

 

 

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本調査の目的・特徴

本調査は、当事者団体である一般社団法人チャレンジドLIFEが中心となり、障害のある子どもを育てる家庭を含む全国の子育て家庭の声を集め、大震災時の避難・備えに関する課題を可視化したものです。

本調査で明らかになったのは、個々の家庭の努力だけでは解決できない課題が、現行の防災体制の中に残されているという事実です。一般社団法人チャレンジドLIFEは、当事者の声を起点とした防災施策の検討が、「誰一人取り残さない防災」につながると考えています。本調査が、行政にとっては実効性ある防災施策を検討するための材料となり、子育て家庭にとっては日々の備えや支援とのつながりを考えるきっかけとなることを願っています。

調査概要

実施期間:2025年4月2日~5月15日

対象:日本国内の0~18歳の子どもを育てる保護者

実 施 団 体:一般社団法人チャレンジドLIFE / 特定非営利活動法人しがいち防災研究所

協力:京都大学防災研究所 副所長 矢守 克也教授/一般社団法人福祉防災コミュニティ協会理事 湯井恵美子様、滋賀県草津市

有効回答数:632家庭(子ども923人分)

(1) 一般の避難所が「選ばれていない」現実

大震災を想定した設問では、障害のある子どもがいる家庭は、障害のない家庭に比べて、一般の避難所を選ぶ割合が低いことが明らかになりました。この傾向は、被災当日・翌日だけでなく、避難生活が長期化する「3日目以降」において、さらに顕著になります。また、子どもの年齢が上がっても、「成長すれば避難所に適応できる」とは言い切れない実態が確認されました。

(2) 避難所を避ける理由は「人的・社会的ハードル」

【共通して挙げられた不安】

・衛生面(トイレ・感染症など)

・プライバシーの確保

・慣れない環境での生活

これらは、障害の有無に関わらず、多くの家庭に共通する不安です。

 

【障害児家庭に特有の不安】

一方、障害のある子どもを育てる家庭では、以下の理由が多く挙げられました。

・子どもの感覚過敏やこだわり行動

・周囲の視線や無理解への不安

・集団生活や避難所ルールへの適応困難

・コミュニケーションの難しさ

これらは、施設の物理的整備だけでは解消されにくい課題であり、避難所の運営方法や受け入れ体制の工夫が求められます。

(3) 子どもが一人で被災した場合、家庭だけでは守れない

「子どもが一人のときに被災した場合」を想定した設問では、障害児家庭の約半数が「連絡・判断・助けを求めるなど、いずれの対応も困難」と回答しました。障害のない子どもでは年齢とともに対応可能と考える割合が高まる一方、障害のある子どもでは、13歳以上であっても困難が残るケースが多いことが分かりました。

これは、家庭内の備えや教育だけでは限界があり、地域や行政による事前の仕組みづくりが不可欠であることを示しています。

(4) 制度は存在するが、届いていない

災害時避難行動要支援者名簿、個別避難計画、福祉避難所などの支援制度について尋ねたところ、「知っている」「活用している」と回答した家庭は2割未満でした。特に、療育手帳Bや手帳未取得の障害児家庭では、制度そのものを知らない割合が高く、支援制度が「制度未接続層」に届いていない実態が明らかになりました。

行政施策への示唆

本調査から、次のような方向性が重要であることが示されました。

・一般避難所の運営を柔軟化し、多様な特性をもつ人が過ごせる空間設計を行うこと

・福祉避難所や在宅避難を「例外」ではなく、同時に想定した支援体制を構築すること

・個別避難計画を形式的な制度で終わらせず、実効性のある運用につなげること

・制度情報が確実に当事者に届く導線を設計すること

有識者からのコメント(抜粋)

京都大学防災研究所 副所長 矢守 克也 教授

防災の世界は、これまで研究者や行政の実務者が中心となって進められてきました。しかし「一人の犠牲者も出さない」という目標は、その「一人」が置かれている具体的な状況を十分に理解しなければ達成できません。

本調査は、第三者ではなく、当事者自身が調査し、分析し、提言まで行っている点に大きな意義があります。「当事者発の防災」を進めていく上で、重要な示唆を含む調査だと考えています。 (※全文は調査報告書に掲載)


一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 理事 湯井 恵美子 氏

幼い子どもや、知的・発達障害のある子どもにとって、避難は「安全な場所へ移動すること」だけではありません。

安心して過ごせる環境を確保できるかどうかが重要です。一般の避難所に限らず、実家や親族宅、友人宅、ホテルなど、複数の避難先を日頃から想定し、経験しておくことが、実効性のある備えにつながります。 (※全文は調査報告書に掲載)



ダウンロード
【調査報告書】子育て家庭の大震災への備えに関する全国調査(全文)
インクルーシブな視点から見た子育て世帯の災害備えへの提言.pdf
PDFファイル 1.3 MB


全国調査に寄せられた当事者家庭の声をもとに制作した防災冊子

『わが家の防災 はじめのいっぽ 〜発達障害児の子どもを守るために〜』はこちらからご覧ください⬇️

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